普段自分達がトレーニングしている施設は上海市内から電車で1時間半程離れた奉賢区にあります。
上海と言うと中心部はもはや東京を上回る程おしゃれで発展していますが、
ここ奉賢区は市内の外れで超不便な場所。
先日その拠点施設のリード壁の改装が終わりました。
と言うのも、上海チームは木村さんが指導するにあたり、
やりやすいように何でも相談してくださいと言われていたので、
先ずはリード壁の形状変更を指示して改装してもらいました。
4月末に施設の視察に来た時に気になったのがリード壁(写真は4月の視察の時)。
高さは15mはあるものの傾斜は無く、
トレーニング内容も毎月1回程度オンサイト用に数本ルートを作ってはそれを登るだけ。
さらに、登る本数も半日でせいぜい4,5本との事。
これではクライミングの基礎となる登り込むと言うベーストレーニングができない上に、
現代のニーズに合った壁ではないのでコンペ対応もできない。
改装にあたっては幾つかの制約があり、
今回の改装可能部分は中央部の幅10m部分のみで、
取り付きから張り出しは8m以内の範囲。
壁に変化を付けるか悩んだが、
横幅が短いのでシンプルなデザインに。
下部100度、中間128度、上部115度で最終パートは最低登攀距離を4mは確保できる壁を提案。
(それにしても、いきなりのお願いにも直ぐに対応するのが中国の凄さ!)
取り合えずパネルを剥がして、
予定通り組みあがるか障害物がないかをチェックして再調整。
工事は自分が帰国している間に終わるように段取りを組んで8月末からスタート。
壁建ての工法は日本と全く違い驚きの連続。
日本だと鉄骨の場合、接合部はボルト止めして徐々に組み上げていくのが基本。
それに対して中国では基本溶接して組み上げる。
しかも先に地面である程度の範囲の骨組みを作成してから(写真1枚目10m×6m程の骨組み)、
一気にロープや作業車を使って釣り上げて(写真2,3枚目)、
仮固定したら接合部分を溶接していく、
釣り上げる時に枠組みが重さで変形するので、
途中で折れるんじゃないかと心配になる(写真3枚目)。
日本だとボルダー壁を建てる場合に部材が木材の場合はこの工法を良く使うが、
その鉄骨版といった感じ。
(写真だと分かりにくいが中央壁にはたった4,5本しかルートは設定されていない)
他にも問題が有り日本と違い壁にはプロテクションの数がとても少ない。
これは中国のどの壁に行っても多くみられる事で、
ここにラインを引きたいと思ってもプロテクションがない為作れないと言った事が多い。
(過去に何度かコンペセットで訪れた壁も全て同じ感じ)
その為今回は中国のべニアの規格寸法に合わせてプロテクションを縦横120㎝の各所の全てに設置するよう指示。
この時点(8月末)で自分はいったん帰国しました。
工事は順調だったようで9月中旬には完成の連絡が有りました。
早速タイプ別に11C以上を各2本ずつを入れるよう地元セッターに指示して9月21日に再訪中。
写真2枚目の様な感じで出来上がっていました。
ぱっと見はいい感じにルートがあるが数えてみると9本しか入ってない。
聞くと、セッターはこんなに壁にルートを設定した事がないのでこれで十分と判断したらしい。
自分で10本程追加して合計20本の壁に。
まだまだ色的にも入れられるので追加したいが、
そもそもこれ程リード壁にホールドが付いたことがないので、
ジムのホールドを全て使い果たしてしまい打ち止め。
次は大型ホールドや海外ブランドはほぼ無いのでどこかからか手に入れないと!
自分ではいたって普通のトレーニングウォールに仕上げたつもりが、
現地のスタッフや選手達はこのような本数でトレーニングをした経験が無いのでかなり新鮮らしい。
早速地獄の追い込みトレーニングを開始します!
続く